予防医療
ワンちゃんネコちゃんへの予防医療として、毎年、各種ワクチン接種(狂犬病・混合ワクチン)・ノミ/マダニ/寄生虫予防・フィラリア予防をお願いしています。
また、将来の病気の予防の一つとして不妊手術も検討してみてください。
※当院では現在、メス犬の避妊手術は行っておりません。
1年間の予防スケジュール(犬用)
スケジュールは横にスクロール出来ます。
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | |
狂犬病ワクチン | 年に1回の接種が法律で義務付けられています。 | |||||||||||
混合ワクチン | 年に1回接種をおすすめしています。 | |||||||||||
フィラリア症 | 血液検査 | |||||||||||
ノミ・マダニ | ※ | ※ | ※ | ※ |
1年間の予防スケジュール(猫用)
スケジュールは横にスクロール出来ます。
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | |
混合ワクチン | 年に1回接種をおすすめしています。 | |||||||||||
ノミ・マダニ | ※ | ※ | ※ | ※ |
※ノミの卵は室温13℃以上でふ化します。暖かいお家では必要に応じて冬場も続けましょう。
犬
狂犬病・混合ワクチン・フィラリア・ノミ・マダニ
狂犬病
狂犬病は、犬に限らず哺乳類すべてが感染するウイルス疾患です。感染した動物に噛まれて人間も感染し、発症するとほぼ100%の確率で死に至ります。
昔は日本でも狂犬病が蔓延していましたが「狂犬病予防法」を制定し、野良犬・野良猫の管理や駆除の徹底や飼い犬の予防注射を義務付ける事で60年以上も国内で狂犬病は発生していません。しかし日本を含む数カ国を除き諸外国では狂犬病の発生が確認されており、狂犬病ウイルスを持った犬や猫の侵入リスクは皆無ではありません。
自治体によっては集団予防注射を開催してします。また当院を含めお近くの動物病院での接種も可能です。年に一回、必ず予防接種をしてください。
混合ワクチン
生まれたばかりの子犬は、生後60日頃に1回目、以後1ヶ月におきに計3回。成犬には1年に1回の混合ワクチンの接種をおすすめしています。
狂犬病とは異なり、愛犬を病気から守るための任意の予防接種です。
混合ワクチンの接種により風邪のような軽い病気から死に至る危険性のある病気までの予防がされます。
混合ワクチンは動物病院によって扱っている種類が異なります。当院では5種・6種・9種を用意しています。数字は予防できる病気の数です。
5種 | 6種 | 9種 | |
---|---|---|---|
犬ジステンパーウイルス感染症 | ○ | ○ | ○ |
犬アデノウイルス1型感染症(犬伝染性肝炎) | ○ | ○ | ○ |
犬アデノウイルス2型感染症 | ○ | ○ | ○ |
犬パラインフルエンザ感染症 | ○ | ○ | ○ |
犬パルボウイルス感染症 | ○ | ○ | ○ |
犬コロナウイルス感染症 | ○ | ○ | |
犬レプトスピラ感染症(カニコーラ) | ○ | ||
犬レプトスピラ感染症(イクテロへモラジー) | ○ | ||
犬レプトスピラ感染症(ヘプドマディス) | ○ |
当院では主に室内で飼育されているワンちゃんに対しては6種ワクチンをおすすめしています。9種になるとネズミ等の齧歯(げっし)類から人や犬に感染する病気のワクチンが含まれます。川沿いを散歩する子や、海や山などの自然の中キャンプ場に行くなど感染する機会のあるワンちゃんでは9種混合ワクチン接種をおすすめします。
フィラリア
フィラリア症とは、心臓や肺動脈に寄生する寄生虫(フィラリア)が引き起こす病気です。フィラリアに感染している犬を吸血した蚊を介して他の犬へ感染を広げていきます。
フィラリア症になると咳をしたり、散歩や運動を嫌がるなどの症状が見られ、重症になると死に至ります。
昔は有効な予防薬が無く多くの犬がフィラリア症で亡くなっていました。この頃は定期的なお薬の投与で確実に予防できるようになり、フィラリアに感染している犬も減り感染の機会も減りましたが、犬以外にもタヌキなどの野生動物からも感染するため予防が必要です。
予防薬は感染後1ヶ月程度のフィラリアを駆虫するお薬です。そのため、蚊がいなくなってプラス1ヶ月の服用が必要です。より安全を目指すならば1年中のお薬の投与が確実です。当院周辺地域の気候でのフィラリア予防期間は5月〜12月です。
※1年間予防できる注射もありますが当院ではアレルギー等を考慮し扱っておりません。
ノミ・マダニ
犬に寄生するノミやダニはかゆみによる皮膚炎、瓜実条虫症(サナダムシ)、死に至る危険があるバベシア症といった病気を引き起こすことがあります。
また、人間に被害をもたらすこともあり、特にマダニは、マダニから人へ、マダニから感染した動物から人へ、近年死亡例も確認され話題となったSFTSウイルス(発熱・下痢・嘔吐・腹痛などを発症、重篤な場合は神経症状や出血症状をもたらし死に至ることもある)を移す危険性があります。
当院では駆虫や予防対策として首に垂らすタイプやおやつタイプの内服薬を用意しています。最近ではフィラリア症予防薬と一つになったタイプもあります。その子にあった投与しやすいお薬で確実に予防してあげてください。当院でのノミ・ダニ予防期間は4月〜11月です。1回で1ヶ月間予防されます。
※ダニを見つけた場合は下手に取るとキバが残り皮膚に炎症や痒みを起こすことがあるため、必ず近くの動物病院で取ってもらってください。
猫
混合ワクチン・ノミ・マダニ
混合ワクチン
生後30日頃に1回目、以後1ヶ月におきに計2回。以後は1年に1回の混合ワクチンの接種をおすすめしています。
愛猫を病気から守るための任意の予防接種です。
混合ワクチンは動物病院によって扱っている種類が異なります。当院では3種を用意しています。数字は予防できる病気の数です。
ワクチンで予防できる病気は以下となります。
- 猫ウイルス性鼻気管炎
「猫の鼻風邪」とも呼ばれます。症状は元気がなくなる、食欲がなくなる、発熱、鼻水、くしゃみ、目やにが出ます。下痢して脱水症状になり衰弱が進むと死ぬこともあります。 - 猫カリシウイルス感染症
くしゃみ、鼻水、咳、発熱と鼻気管炎と同じような症状ですが、重症になると舌や口の周囲に潰瘍ができます。 - 猫汎白血球減少症
食欲がなくなり、水も飲まずにうずくまった状態になります。さらに白血球が極端に減少し、発熱、激しい嘔吐、血便や下痢が始まって脱水症状を引き起こします。
感染力が強く急激に症状が出て進行が早いので、体力の弱い子猫などは1日で死亡することもある怖い病気です。
ノミ・マダニ
ノミに感染するとかゆみやアレルギー症状による皮膚炎だけでなく、瓜実条虫症(サナダムシ)なども引き起こします。
犬同様マダニは、マダニから人へ、マダニから感染した動物から人へ、近年死亡例も確認され話題となったSFTSウイルス(発熱・下痢・嘔吐・腹痛などを発症、重篤な場合は神経症状や出血症状をもたらし死に至ることもある)を移す危険性があります。
猫はダニよりもノミの感染で問題になることが多く、猫に感染したノミは家の中で産卵と成長を繰り返す悪循環となるほか、人間を噛むことも少なくありません。そのためノミを見つけた場合、愛猫のノミの駆除に加え家全体もノミの駆除が必要です。
普段、室内で飼育されている場合でも人が持ち込んだり庭から入ってきたりと感染の可能性があります。また、野良猫のほとんどがノミに感染しています。外に出す飼育をされている場合は必ず予防してください。
当院では駆虫や予防対策として首に垂らすタイプを用意しています。1回で1ヶ月間予防されます。
不妊(去勢・避妊)手術
犬・猫ともに、成長が落ち着く生後6ヶ月ころから手術が行なえます。成長には個体差がありますので体重の変化などを参考に獣医師にご相談ください。
不妊手術のメリット・デメリット
『メリット』
- 望まない繁殖の防止
- 将来的な病気の予防
オスの場合:前立腺腫大や精巣の腫瘍、肛門周囲腺腫など
メスの場合:卵巣や子宮の腫瘍、子宮蓄膿症や子宮内膜炎、乳腺腫瘍など特に乳腺腫瘍に関しては1回目の発情の前に避妊手術を行う事で9割以上の確率で予防できると言われています。 - 逃走したり、吠える鳴くなどの発情反応の抑制
『デメリット』
- ホルモンバランスの変化による体重の増加
太ることで足腰に負担をかけたり、糖尿病や尿結石、腎臓病のリスクが高まります。体重管理に注意が必要です。 - 不妊手術とそれに伴う麻酔のリスク
『手術の内容』
全身麻酔をし、オスは精巣を、メスは卵巣と子宮の大半を摘出します
不妊手術をする事でほとんどの子が性格も丸くなり徐々に発情行動はなくなりますが、マウンティング行動など癖になっていたりすると完全に抑制することが出来ないことがあります。
繁殖を望まないのであれば、その子のためにも早期の不妊(去勢・避妊)手術をお勧めします。
その他、おうちの子に合わせた詳細をお読みになりご検討してください。
犬
オスの発情期は特に無く、メスの発情に反応して発情します。
メスは6ヶ月〜10ヶ月ごとに2週間程度続きます。
不妊手術をする事で
- オスの場合:オス独特のオシッコの匂いの軽減やマウンティング行動の抑制
- メスの場合:陰部から出血による室内の汚れや、生理による倦怠感、陰部をしきりに舐める行動の予防といったメリットもあります。
※当院では現在、メス犬の避妊手術は行っておりません。
猫
猫には「発情期」というものがあります。
毎年、春先(2〜3月)と秋口(9〜10月)に一斉に発情します。
この時期になると鳴き声や発情行為に悩まされる飼い主さんも多いです。
猫は「交尾排卵動物」といって、交尾の刺激で排卵が誘発されるため、メス猫は交尾するとほぼ確実に妊娠します。発情期の間に交尾を繰り返し、交尾の回数分の頭数を出産します。複数のオスと交尾した場合はそれぞれ父親が違うため、色も顔も違うことが珍しくありません。
猫は犬に比べて発情反応が強いため、不妊手術の最大のメリットは望まない出産です。兄弟猫でも交尾します。特に多頭飼育の方は注意が必要です。
オスの場合は攻撃性や逃走癖、スプレー行動(壁や柱におしっこを吹きかける、なわばりを強調する)の軽減にもなります。なお、メス猫に発情出血はありません。