動物への東洋医学

 (鍼治療・漢方薬・推拿(すいな))

メリット・デメリット

西洋医学と東洋医学、それぞれにメリット・デメリットがあり、どちらの方が優れている、どちらの方が治るということではありません。症状や年齢、体質に合った治療法を選択する必要があります。

東洋医学(鍼治療・漢方薬・推拿(すいな))の治療を考える上で、より詳細な東洋医学のメリット・デメリットを知ることが大切です。

■メリット

  • 鍼治療も漢方薬も推拿も、重大な副作用が起きる危険性は少ないです。

ただし、身体が弱っているのに鍼の刺激量が多いと疲れてしまい、疲れ果ててしまう結果になりますし、推拿(マッサージ)もやり過ぎてしまうと逆効果になったり、いわゆる「モミ返し」が起こります。

漢方薬も、一度に大量に飲めば早く強く確実に効くわけではありませんので、飲み合わせや用量、用法を守って正しく服用しないと適切な効果が出ないばかりか、重篤な病気になってしまうことはあります。

  • 身体の調子を診て、病態を把握し、その子に合った治療をします。

    東洋学的治療は西洋医学では重要視していない、問診、視診(望診)、触診(切診)などを用いて、動物の身体を診て原因と病態を把握した後に治療を行います。

たとえば、同じ跛行(おかしな歩き方)でも、それぞれに原因と病態が異なるため、治療法も変化させないと症状が改善されないので、その日の症状に合ったツボと刺激量を変え、その時の状態に合った漢方薬を処方したりして、動物の身体状況に合わせたオーダーメイドの治療を行っていきます

■デメリット

  • 手術が必要な緊急で重篤な病気には適応できません。

骨折や断裂、脱臼、麻痺、破裂、出血多量などの緊急事態に対応は難しいです。
それはまず救命救急を最優先することが先決であり、救命救急病院や西洋医学的治療を第一番目に選択しましょう。

  • 効果が出てくるまでに時間が掛かります。

東洋医学的治療は動物1頭1頭の体質を考え、自然治癒力を高めて身体を治していく治療ですから、治療効果を感じるまでに多少の時間が掛かります。

しかし、自分が持っている「治す力」を高めていく治療ですから、副作用の心配がなく再発する可能性も少ないという利点があります。

  • 今現在の身体の状況が見えるもの(数値や画像)で把握できない。

東洋医学的の治療では、例えば血液検査の数値は参考にしますが、その数字にこだわり、数字を追っていくことはありません。その検査結果に一喜一憂せず、自分の免疫力を高めることにより治癒を促していきますので今現在の身体の調子が判らないことがあります。

もしその病状が治療をしているのに一時的に悪化したとすると、それは単に悪化しているのか、好転反応(治る過程で一時的に悪化したように見える状態)なのか判断に困ることがあります。

感染症に対しても、西洋医学の力を借りましょう。自分の体力や免疫力が落ちているときに感染した細菌やウイルス、寄生虫などには、西洋医学の抗生物質や抗ウイルス薬、駆虫薬などを用い、病気の原因(病気の勢い)を抑えてから、東洋医学の考え方の「養生」を行います。

その他、腫瘍(ガン)に対しても、西洋医学的治療をまずは考えてください。積極的な治療を選択しなかったり、腫瘍切除後の抗がん剤の副作用に対しては、お役に立てるかもしれません、ご相談ください。