2021年5月5日 / 最終更新日 : 2021年5月5日 坪井どうぶつ病院 治療ブログ ヘルニア 鍼治療 Mダックス(TKくん 13歳) 市川市からTKくんが初めて来院されたのは10月6日でした。前日より両後脚麻痺、かかりつけAHでは「ヘルニアのステージ4」内服と安静の指示。効果がなければ手術も検討とのこと。昨日は軽いパニック状態だったが少し落ち着き、飼い主様が以前にどなたかのブログで読んだ当院を思い出して来院。 TKくん、パニック状態だったとのことですが、ワンちゃんも突然歩けなくなるわけですからパニック状態になる子が多く見られます。元気がない、動かない、挙動不審になる、ご飯を食べない等、パニックの症状は様々です。数日から長くとも1週間程度で現状を理解し、歩けないことを除けばいつも通りになります。 当日の深部痛覚の確認の映像。簡単に説明すると足を触ったり押したりした際の反応があるかないか、です。左足はなし(完全麻痺)、右足は最初はなかったものの若干あり。 治療中の様子。後脚が麻痺しているため後脚を持たれても、背骨を伸ばしても嫌がることもありません。 麻痺が強いので週2ペースで通院することに。通院のペースは症状と飼い主様の都合で決めます。なお、このような麻痺状態の時、おうちでは飼い主様に足を揉む(肉球や肉球と肉球の間への刺激)こと、安静とは言えケージに入れたまま(ケージレスト)等では無く、できる限り普段通りの生活をお願いしています。 3日後 10月9日 2回目の鍼治療。時々、支えているとフワッと立ち上がろうとするようになるものの立つことはできず。発症して4日、鍼治療後3日と考えると回復の兆しは早い方です。おうちで足を揉んでいるとのことで、これだけと思うかもしれませんが、やっているといないとでは経験上、回復に差が出ます。飼い主様の頑張りがわかります。 4日後 10月13日 3回目の鍼治療。おうちではじゅうたんの上なら少し歩けるとのこと。踏み直り反応(足を裏返して元に戻すかを見る)も出てきました。 深部痛覚もかなり戻ってきています。 診察台の上でも少しですが立てるように。 少しでも立てるようになってきたら。おうちでも立たせてあげることが1番のリハビリになります。筋肉を落とさないことが大切です。 3日後 10月16日 4回目の鍼治療。おうちではじゅうたんの上で走っているとのこと。病院の滑る待合室で、少し滑っていますがしっかり立って歩いています。 深部痛覚も一段とはっきりしています。 ここまで回復すれば通院の間隔も開けていき、週1に変更です。 1週間後 10月24日 5回目の鍼治療。前回よりも滑ることなく歩けるように。おうちでは後脚2本で立つようになり抑えるのが大変とのこと。 1週間後でしたが問題なさそうなので、次回は2週間後に。もちろん、その間に調子が悪くなれば来院です。 2週間後 11月7日 6回目の鍼治療。映像を撮ったはずがなく(汗)診察室でくつろいでいるTKくん。すっかり病院にも慣れました。2週間何事もなく、この日も普通に歩いていました。 ということで鍼治療はここで一旦、終了。多くの子が5、6回くらいで回復し卒業(終了)となります。あとは1ヶ月後くらいに来院していただき最終チェックでその後の様子を見ます。 1ヶ月後 12月5日 最終チェック 鍼治療7回目。冬に入ってお洋服を着て来院。後脚の滑りも全くなく、言われなければヘルニアだったとはわからない程、いい感じに歩いています。 TKくんはこれで完全に卒業(終了)です。ヘルニア発症からすぐに来院していただいたこと、初期に頻繁に通院していただけたことで回復も早い方でした。歩けない状態が長く続いていると鍼治療で神経は戻せて麻痺は回復しても筋肉が落ちて物理的に歩けなくなってしまいます。TKくんのように回復した場合の今後は、季節の変わり目など定期的にメンテナンスに来ていただく、遠方の方には難しいので調子を見て、何かあればすぐに来院していただく感じとなります。