2021年5月22日 / 最終更新日 : 2021年6月8日 坪井どうぶつ病院 治療ブログ ヘルニア 鍼治療 Mダックス(SCくん 13歳) 市川市からSCくんが初めて来院されたのは9月29日でした。前日に電話があり「3週間前頃から後脚が麻痺して歩けない」とのこと。今までも時々あって薬で治っていたが、今回は治らず手術をすすめられている状況。飼い主様としては年齢的にも手術は希望しておらず。 当日の様子。動画を撮ったつもりが写真しかなく。床に下ろしたらそのままの状態で全く歩けず。深部痛覚は左はなく、右はあるかないか微妙。踏み直り反応は両足ともなし。 すでに麻痺状態が3週間続いていたため筋肉は多少残っているが歩けるようにまで回復するかは厳しい中での鍼治療スタートとなりました。筋肉がないと鍼治療で神経は回復しても物理的に立てません。飼い主様の都合で頻繁に通院は難しく週1程度。家でのトレーニングとして足への刺激と少しでも筋肉を落とさないよう補助して4足で自立してもらうようお願い。 10月5日 2回目の鍼治療。深部痛覚が少し戻ってきていました。治療中に立ち上がる素振りが見られましたが、立って歩くことはできず。踏み直り反応は変わらず両足ともなし。 後足はクロスしたままで前足だけで歩いています。 支えがあると数秒なら立っていられる程度です。尻尾も動いていません。 ただ、筋肉の状態から厳しいと思っていましたが、家でもトレーニングを頑張ってくださったこともあり、想定よりは鍼治療への反応が良く回復に期待です。 10月12日 鍼治療3回目。今朝、お父さんを追いかけて4〜5歩歩いたと嬉しい報告。伸び切っていた足は右足がかなり回復し、漕ぐように動いています。方向転換する時にお尻が上がるくらいまでに。 治療中も立ち上がろうとして落ち着かず。 3週間の麻痺状態から2週間でここまで回復するとはSCくんには鍼治療が合ったようです。 10月23日 4回目の鍼治療。飼い主様の都合で間が空いてしまいましたがお家で歩いているとのこと。病院でも滑りながらでもいい感じに歩いてくれました。 ただ、長い麻痺状態で腰を支える筋肉が落ち、腰をかばっての歩行のため腰がかなり曲がってしまいました。初めての来院からここまでに3週間以上経っており、筋肉もさらに落ちています。ここまで来たらとにかく歩くことが1番のリハビリです。 多少歩けるようになったものの、踏み直り反射はまだ時々。どこまでしっかりと歩けるようになるかが課題です。 10月30日 鍼治療5回目。前回よりも滑らず歩けるように。ここまでの回復に飼い主様も驚きつつ喜ばれていました。 踏み直りも右足はだいたい直るように。治療中もずっと立っています。背中の曲がりを治すのは難しいですが、もう少ししっかり歩いて欲しい。ここまで回復すれば通院間隔も空けて次回は2週間半後に。 11月16日 鍼治療6回目。格好は良くないけど小走りするくらいまでに。なんだか楽しそうな歩き方です。 「ここまで歩ければ十分です」と飼い主様から嬉しいお言葉をいただきました。不自由なく生活できているようです。病院としてはもう少し綺麗に歩けるようにと思いますが、筋肉の状態、腰の曲がりを考えると難しいところもあります。ゴールが見えてきました。次回は1ヶ月後です。 12月11日 鍼治療7回目。前回よりも飛んだ感じは無くなっていました。ひとまず維持できていたので良かったです。 腰はかなり曲がってしまいました。腰が痛いとかばって歩いているため、ヘルニアで来院される子の多くが多少なり曲がっています。いきなりヘルニアになったように見えますが実際は積み重ねです。 実はSCくんは当院に来院前、麻痺状態の時に車椅子を購入して使用していたとのことで、飼い主様が「嬉しい無駄遣いだった」と言っていました。発症から麻痺状態が3週間、当院に通院し始めて2ヶ月半。筋肉の状態が微妙でしたがなんとか歩けるようになり良かったです。<終>